Journal

制作ノートと、
抽象の記録。

色を重ねるように、言葉を重ねる。
制作の過程、まなざしの記録、静かな思索のかけら。

Notes & Process
触れずにいるという親密さ

触れずにいるという親密さ

触れずにいるという親密さ 作品との距離について、よく考えます。 描いている最中の私は、キャンバスにかなり近づいています。ほとんど触れるほどの距離で、色のにじみや、筆の跡、絵の具のわずかな厚みを確かめる。そのとき私は、世界のすべてがこ...

続きを読む
はじまりは静かに、終わりは透明に

はじまりは静かに、終わりは透明に

はじまりは静かに、終わりは透明に 制作を続けていると、「始まり」と「終わり」という言葉について、何度も考えることになります。 始まりは祝福され、終わりはどこか寂しさを帯びる。けれど、絵を描くという行為のなかでは、その二つはそれほど単...

続きを読む
意識と無意識の狭間で、色はほどける

意識と無意識の狭間で、色はほどける

意識と無意識の狭間で、色はほどける 制作をしていると、ときどき自分がどこにいるのか分からなくなる瞬間があります。 目は確かにキャンバスを見ている。手も確かに筆を握っている。けれど、判断しているのが「自分」なのかどうかが、曖昧になるの...

続きを読む
終わりを決めるという静かな決意

終わりを決めるという静かな決意

終わりを決めるという静かな決意 制作をしていると、いつも同じ問いに行き当たります。 「これは、いつ終わるのだろうか。」 描き始めるとき、私は完成の姿を明確に思い描いているわけではありません。むしろ、分からないからこそ描き始めます。...

続きを読む
空を抱く小さな深淵

空を抱く小さな深淵

空を抱く小さな深淵 雨上がりの朝、アトリエへ向かう道にいくつもの水たまりができていました。 それはただの窪みに溜まった水にすぎないのに、なぜか足を止めてしまう瞬間があります。 今日は、その「水たまり」という存在について、静かに...

続きを読む
風が通ったあとの色

風が通ったあとの色

風を描くということ 風を見たことがありますか、と問われれば、私たちは少し戸惑います。風はいつも確かにそこにあるのに、目で捉えることはできません。揺れる木の葉や、なびくカーテン、波立つ水面を通して、間接的にその存在を知るだけです。抽象画...

続きを読む
時間の手触りを探して

時間の手触りを探して

時間の手触りを探して アトリエでキャンバスに向かっていると、ときどき「時間」というものの正体がわからなくなります。 時計の針は進んでいるのに、私の内側では止まっているような感覚。 あるいは、ほんの数分のはずが、どこか遠くまで歩...

続きを読む
マッカランと絵画

マッカランと絵画

マッカランと絵画 夜の制作がひと段落すると、小さなグラスに琥珀色の液体を注ぎます。ザ・マッカラン。その香りをゆっくりと立ち上らせながら、私はキャンバスを振り返ります。ウイスキーを飲むために絵を描いているわけではありませんし、絵を描くた...

続きを読む
余白を楽しむ

余白を楽しむ

余白を楽しむ キャンバスの前に立つとき、私はいつも「何を描くか」よりも「どこを描かないか」を考えます。抽象画を描いていると、色や線を重ねることに意識が向きがちですが、本当に作品の呼吸を決めているのは、実はその間にある余白ではないかと、...

続きを読む
矛盾とともに描く

矛盾とともに描く

矛盾とともに描く 「矛盾」という言葉を、私はどこかで誤解していました。整っていないこと、辻褄が合わないこと、未熟であること。そのような否定的な響きを、無意識にまとわせていたのだと思います。しかし制作を続けるうちに、矛盾は排除すべきもの...

続きを読む
孤独のなかで、色はゆっくりと呼吸する

孤独のなかで、色はゆっくりと呼吸する

孤独のなかで、色はゆっくりと呼吸する 制作をしているとき、私はひとりです。アトリエの扉を閉め、外界の音を遠ざけ、キャンバスと向き合う。その時間は、静かで、どこか緊張を孕んでいます。孤独という言葉には、寂しさや欠落といった響きがあります...

続きを読む
音楽と抽象絵画 ― 聴こえない旋律を描くということ

音楽と抽象絵画 ― 聴こえない旋律を描くということ

音楽と抽象絵画 ― 聴こえない旋律を描くということ 私がキャンバスの前に立つとき、そこにはいつも音楽があります。静かな朝であればバッハ、夜の深い時間であればビル・エヴァンス。音楽は私にとって、単なるBGMではありません。それは、色を選...

続きを読む
1 / 2 次へ