波は心のかたちをしている
波は心のかたちをしている 感情は、ときどき厄介なものとして扱われます。なるべく乱れないように、なるべく表に出さないように、なるべく冷静であるように。私たちは日々の暮らしのなかで、そうした態度を少しずつ身につけています。それは社会のなか...
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色を重ねるように、言葉を重ねる。
制作の過程、まなざしの記録、静かな思索のかけら。
波は心のかたちをしている 感情は、ときどき厄介なものとして扱われます。なるべく乱れないように、なるべく表に出さないように、なるべく冷静であるように。私たちは日々の暮らしのなかで、そうした態度を少しずつ身につけています。それは社会のなか...
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何もない、という豊かさの輪郭 「何もない」と感じる時間に、私たちはどこか不安を覚えます。予定が埋まっていない日、頭の中に明確な考えが浮かばない瞬間、あるいは描こうとしても筆が止まってしまうとき。その空白は、まるで欠けているもののよ...
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静けさを壊してしまう色 絵を描いていると、ふと「もうやめておけばよかった」と思う瞬間があります。色を一つ重ねたことで、先ほどまであった静かな均衡が崩れてしまう。筆を置くべき場所を通り過ぎてしまったことに、あとから気づくのです。 ...
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まだ来ぬものの気配に、色は耳を澄ます 絵を描いていると、ときどき「まだ起きていない何か」に導かれているような感覚があります。はっきりとした像が見えているわけではありません。けれども、確かにそこに向かって筆が進んでいく。その曖昧な方向感...
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遠ざかる記憶に、色はなお残る 記憶は、私たちの意思とは関係なく、少しずつ遠ざかっていきます。 はっきりと覚えていたはずの風景や声の調子が、ある日ふと曖昧になっていることに気づく。細部は削られ、輪郭はやわらぎ、やがて形を失っていく。そ...
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まだ来ぬもの、すでに去ったもののあわいで 未来と過去。その二つは、いつも私の制作の背後にひっそりと立っています。どちらもこの手では触れられないのに、絵を描こうとするとき、確かにそこに在る。キャンバスの前に立つと、まだ見ぬ未来の気配と、...
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かたちの向こうに触れる——写実という静かな問い 写実という言葉を聞くと、多くの人は「本物そっくりに描くこと」を思い浮かべるのではないでしょうか。細部まで正確に、光の当たり方や質感まで忠実に再現する。それは確かに高度な技術であり、長い時...
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存在と無のあわいに、色は立ち上がる キャンバスに向かうとき、私はいつも「何かを描こう」としているのではないのかもしれません。 むしろ、何もないところに、何かが現れてくる瞬間を待っているのだと思います。 真っ白な支持体は、単なる空白...
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触れずにいるという親密さ 作品との距離について、よく考えます。 描いている最中の私は、キャンバスにかなり近づいています。ほとんど触れるほどの距離で、色のにじみや、筆の跡、絵の具のわずかな厚みを確かめる。そのとき私は、世界のすべてがこ...
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はじまりは静かに、終わりは透明に 制作を続けていると、「始まり」と「終わり」という言葉について、何度も考えることになります。 始まりは祝福され、終わりはどこか寂しさを帯びる。けれど、絵を描くという行為のなかでは、その二つはそれほど単...
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